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滞納管理費支払者の元所有者に対する求償権

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平成18年 3月30日(木):初稿
○久しぶりにマンション法に関する話題です。
Xさんは、Yさん所有のマンションを競売で買い受け所有権を取得しました。Yさんは、住宅ローンを滞納しマンションを競売にかけられたのですが、住宅ローンだけでなく管理費も数年間滞納してその滞納管理費は競売当時は200万円に膨れ上がっていました。

○建物の区分所有等に関する法律(マンション法)第8条では「前条第1項に規定する債権(管理費債権)は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と定め、管理費が滞納しているマンションを購入した人はその滞納管理費支払義務も引き継ぐことを規定しています。

○そこで所有者Yさんが200万円もの管理費を滞納しているマンションを購入したXさんは、そのマンションの購入によって購入日以前のYさんの滞納管理費も支払義務を負います。そこでXさんはこの200万円をマンション購入後速やかに支払い、本来の支払義務者であるYさんに対し、求償権を行使して200万円を返還せよと訴えを出しました。

○これに対しYさんは不動産の競売においては物件明細書等に滞納管理費が明記され、競売での最低競売価格は本来の最低競売価格から滞納管理費が控除されて決定され、落札者は滞納を承知で安い価格でマンションを購入したのだから滞納管理はXさんが支払うのが当然でYさんに求償は出来ないと主張しました。

○私の居るマンションでも300万円近く管理費を滞納して競売になった物件があり、落札者は落札後速やかに300万円を管理組合に支払ってきましたが、正直のところ滞納管理費分安く買っていること、また実際問題として競売をかけられるほど困窮した方に請求しても、回収できるはずが無く、元所有者に対する求償の問題など考えたこともありませんでした。

○ところが東京高裁h17.3.30判決は、「マンションの特定承継人は未納管理費を重畳的債務引受して本来の債務者(元所有者)の債務と不真正連帯債務を負うが、元所有者との負担関係は、元所有者に全額負担部分があり、特定承継人の責任は二次的、補充的なものに過ぎないので、特定承継人が支払った未納管理費全額を本来の債務者である元所有者に求償できる」としてYさんに対し200万円全額と支払遅れ損害金の支払を命じました(判時1915号32頁)。

○上記の事情で競売で購入した場合に未納管理費立替支払分を元所有者に求償請求する事例は殆ど無く、この東京高裁での裁判例は初めてのケースのようで、大変重要な意義があります。
以上:1,033文字

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