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不貞行為の疑いのある配偶者から婚姻費用分担請求一部減額決定紹介

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平成29年10月31日(火):初稿
○「不貞行為の疑いのある配偶者から婚姻費用分担請求全額認容審判紹介」の続きで、平成29年6月9日横浜家裁審判(ウエストロー・ジャパン)の抗告審である平成29年9月4日東京高裁決定(ウエストロー・ジャパン)全文を紹介します。

○原審では、、「不貞関係の存否及び婚姻関係の破綻原因の特定については,離婚訴訟等においてなされるべきことであり,明らかに不貞関係が認められ,かつ,それが申立人と相手方との婚姻関係の破綻原因であることが明らかな場合を除き,日々の生活費を賄うための金額を定める婚姻費用の分担の審判において,これを積極的に詳細に審理することは相当ではない。」としていたものを、控訴審決定は、妻の行動は,第三者と不貞関係を持ったことを推認させるもので「配偶者以外の者と男女関係を持つことは,夫婦間の信頼関係を破壊する背信的行為といえ,そうした背信的行為に及んだ者が,別居中の配偶者に対し,婚姻費用として,監護している子の養育費分にとどまらず,自らの生活費に係る部分を加えて,婚姻費用の支払を請求することは,信義に反し,権利濫用に該当する行為というべきである」として、婚姻費用のうち妻の部分は請求を認めませんでした。

○原審審判でも「(妻に)明らかに不貞関係が認められ,かつ,それが申立人と相手方との婚姻関係の破綻原因であることが明らかな場合」には、婚姻費用のうち妻の部分の請求は認められないとの結論を認める余地があります。控訴審決定では、第三者とビジネスホテルに入り、9時間ほど一緒に過ごしたことをもって「妻の行動は,第三者と不貞関係を持ったことを推認させる」としています。調べものをしていただけで不貞行為はしていないとの妻の弁解を「調べ物だけをしていたとは認められない」と断定しています。この判断は、一般的常識論ではありますが、裁判所の認定としては、ちと厳し過ぎ、一審判断の方が、慎重で且つ柔軟性があってよいとの感もあります。

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主  文
1 原審判を次のとおり変更する。
2 抗告人は,相手方に対し,73万円及び平成29年9月から当事者が婚姻解消又は同居まで,毎月末日限り月額7万3000円を支払え。
3 手続費用は,原審と抗告審とを通じ,各自の負担とする。

理由
第1 事案の概要

1 本件は,長男を連れて別居した相手方が,夫である抗告人に対し,婚姻費用分担金相当額の支払を求めた事案である。原審は,支払の始期を平成28年11月とし,抗告人に対し,同月分から平成29年5月分までの84万円及び同年6月から婚姻の解消又は同居まで,毎月末日限り,月額12万円の支払を命じた。抗告人は,これを不服として本件抗告をし,原決定の取消し及び相手方の申立てを却下する審判に代わる裁判を求め,また,婚姻費用の月額を相当減額するべきであるとも主張した。

2 前提事実,抗告人及び相手方の各主張は,次のとおり補正するほかは,原審判の「理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし3記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 2頁8行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
「 婚姻関係の破綻時期及びその原因は,離婚請求訴訟において明らかにされるべき事項であり,有責性が権利者のみに存することが明白な場合でない限り婚姻費用分担義務を養育費相当分に限定すべきではない。」
 (2) 2頁14行目の「一方的に別居し,」の次に「居住地を秘匿し,抗告人と未成年者との父子関係を断絶させ,」を加える。
 (3) 2頁15行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
「 抗告人は,相手方に対し,性的関係の強要はしていない。
 相手方は,不貞行為が原因で別居を強行し,抗告人と相手方の婚姻関係を破綻させたことは,明らかである。」
 (4) 2頁18行目末尾の「負わない。」を「負わず,あるいは,婚姻費用の月額は相当の減額が認められるべきである。」に改める。

第2 当裁判所の判断
1 当裁判所は,抗告人に対し,相手方への婚姻費用として,未払分73万円及び平成29年9月から婚姻の解消又は同居まで,毎月末日限り,月額7万3000円の支払を命ずるのが相当であると判断する。その理由は,次のとおりである。
(1) 本件記録によれば,①相手方は,平成28年7月頃から,同居中の抗告人に対し,性的関係の在り方及び性格の不一致を理由に離婚を申し出ていたこと,②相手方は,同年9月4日,横浜市戸塚区内の自宅から尾張一宮駅まで移動した後,妻子のあるBの運転する乗用車の助手席に乗って,二人で不動産屋,携帯ショップ及び日用品店等をめぐり,③同日16時40分頃ビジネスホテルの一室に入り,Bだけが翌日2時過ぎに同ホテルから出てBの自宅に帰ったこと,④相手方は,抗告人から,上記Bとの関係について追及され,Bを頼ることをやめたこと,⑤そして,相手方は,同月13日に法律相談を受け,警察へのDV相談や心療内科への受診を勧められたこと,⑥相手方は,同月22日に前記別居を行い,その翌日に相談員に相談し,母子生活支援施設に入所したことを認めることができる。

(2) 上記③の相手方の行動は,相手方がBと不貞関係を持ったことを推認させるものである。
 この点,相手方は,不貞行為に及んだことを否認し,ビジネスホテルの一室で,Bからパソコンを借りて仕事や住居の調べ物をしていただけであると主張するが,そうした調べものをする場所としてビジネスホテルを選択することに合理性があるとはいえず,相手方とBが,平成28年9月4日の16時40分頃から翌日の2時過ぎまでの間に,調べ物をしたことがあったとしても,調べ物だけをしていたとは認められない。
 抗告人と相手方の婚姻関係が同年6月ないし9月初めに破綻していたと認めるに足りる資料はない。

(3) 配偶者以外の者と男女関係を持つことは,夫婦間の信頼関係を破壊する背信的行為といえ,そうした背信的行為に及んだ者が,別居中の配偶者に対し,婚姻費用として,監護している子の養育費分にとどまらず,自らの生活費に係る部分を加えて,婚姻費用の支払を請求することは,信義に反し,権利濫用に該当する行為というべきである。

(4) したがって,抗告人には,相手方の生活費に係る部分を分担する必要はなく,相手方は,抗告人に対し,婚姻費用として,長男を監護養育する費用部分に限り請求できることになる。
ア 婚姻費用は,総収入から,税法等に基づく標準的な割合による公租公課並びに統計資料に基づき推計された標準的な割合による職業費及び特別費用を控除して婚姻費用算定の基礎となるべき収入(基礎収入)を推計し,これを生活費の指数で按分して求めるのが相当である。

イ 相手方は,就労しておらず,収入はなく(手続の全趣旨),抗告人は,給与所得者であり,平成28年分の収入は673万5058円である(源泉徴収票)。
 そうすると,本件においては,抗告人の収入が総収入となり,抗告人の収入から算定した基礎収入を抗告人と長男の各生活費指数により按分して求めることになる。

ウ 給与収入が673万5058円の場合,基礎収入割合は37パーセントとするのが相当であるから,抗告人の基礎収入は249万1971円となる。また,生活費指数については,抗告人を100とし,長男を55とするのが相当である。以上を計算して12で除した額が婚姻費用の月額となる(円未満四捨五入)。
 (計算式)
 249万1971円×55/(100+55)≒88万4248円
 88万4248円/12か月≒7万3687円

エ 相手方が抗告人に対して婚姻費用の支払を求めることができる始期は,相手方が婚姻費用分担調停を申し立てた平成28年11月とするのが相当である。

オ 以上の検討及び計算結果によれば,抗告人が相手方に対して支払うべき婚姻費用は,平成28年11月分以降,7万3000円とするのが相当であり,同月分から平成29年8月分までの未払分合計額は,10か月分の73万円となる。

2 以上によれば,抗告人は,相手方に対して,婚姻費用として,73万円及び平成29年9月から当事者の婚姻解消又は同居まで毎月末日限り7万3000円を支払うべきであるから,これと異なる原審判を変更することとし,主文のとおり決定する。
 東京高等裁判所第21民事部 (裁判長裁判官 中西茂 裁判官 原道子 裁判官 鈴木昭洋)
以上:3,457文字

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