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不貞行為第三者の職場への不貞行為報告に不法行為責任を認めた判例紹介2

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平成28年10月13日:初稿
○「不貞行為第三者の職場への不貞行為報告に不法行為責任を認めた判例紹介1」の続きです。
これは平成20年6月25日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)ですが、先ず事案概要は以下の通りです。

・刑務官Y1が、元受刑者である原告受刑中に、その妻Aと1年間に渡り不貞行為継続
・原告は、この事実を知ってAと離婚するも2ヶ月後に復縁し肉体関係も復活
・原告は、刑務官や国に対し2000万円の損害賠償請求提訴
・原告は、提訴に到る過程で、刑務官勤務先刑務所にAとY1の不貞の事実を触れ回った
・刑務官Y1が原告の行動によって社会的評価が低下したとして原告に500万円の反訴請求


○いずれも不法行為を理由に原告は2000万円、不貞行為相手方刑務官は500万円の請求を相手方にしたところ、判決は、刑務官に対し100万円、元受刑者原告に対し11万円の支払を命じました。元受刑者と妻Aは、いったんは離婚に到りましたが、その2ヶ月後にはよりを戻して、肉体関係も復活したと事実認定していながら、刑務官に対し100万円もの慰謝料請求を認めているのは驚きました。

○「被告Y1とAとの関係は,平成17年5月ころまでに,原告が知るところとなり,原告とAは,同月5日に離婚した。しかし,原告は,その数週間ないし2か月位後,Aに復縁を申し出て,それ以後,原告とAとは,話をしたり,肉体関係を持つことになった。」との事実関係では、原告は、最も責任を負うべき配偶者Aの責任を免除しておきながら、刑務官に請求をするなんて、私の感覚では、丸で「美人局」ではないかと言わざるを得ません。

○しかも原告は、暴力団員であり、且つ、「Aは,原告と事実上の夫婦であった時期にも,他の男性と肉体関係を持ったことがあり,被告Y1と肉体関係を持つに至った前記経緯等(性行為中の写真を撮ることなども含む。)からも,男性と肉体関係を持つことにつき抵抗感が比較的少ない女性」とも認定しています。裁判所は「美人局」に手を貸したとしか評価できません。これが合議での判決とは、信じられない思いです。

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第3 争点に対する判断
1 争点(1)(被告Y1の不貞行為の態様―原告に対する不法行為の成否とその内容)について
(1) 前記第2の2(争いのない事実等),証拠(甲1,3,乙13,丙4,5,証人A,原告本人,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア Aは,昭和58年にCと婚姻したが,平成9年ころ,当時,暴力団員であった原告と出会い,肉体関係を持ち,その後は,原告との間で夫婦同然の暮らしをしていた。そして,その間,覚せい剤欲しさに,他の男性と肉体関係を持ったこともあった。原告とAは,平成14年ころ,覚せい剤取締法違反の罪で起訴され,Aは,執行猶予付きの有罪判決を,原告は,実刑判決を受け,原告は,平成15年1月7日から府中刑務所に服役した。Aは,同年4月4日,原告と婚姻し,原告と面会するため,同刑務所を定期的に訪れていた。

イ 被告Y1とAは,平成16年2月初旬ころ,府中刑務所の近くにあるラーメン店c店(以下「c店」という。)で知り合った。その後,被告Y1は,上記c店の店主を通じて,Aからファミリーレストランの割引券を受け取ったことなどをきっかけに,同年5月ころに会う約束をした。Aは,そのころには,上記店主から聞いて,被告Y1が府中刑務所の刑務官であることを知っていた。なお,被告Y1の当時の担当は,昼間は,第三区の20工場及び21工場,夜間は,東2舎の1階及び2階であり,昼間は22工場で,夜間は東1舎1階又は3階で収容されていた原告と職務上接触することはなかった。

ウ 被告Y1とAは,同年5月26日ころ,c店で落ち会い,被告Y1の車でドライブをし,居酒屋で飲酒をした。二人は,互いに好意を持ち,飲酒により気分が高揚したこともあり,肉体関係を結ぼうと,ホテルの空室を探したものの,満室だったため,被告Y1の官舎に行き,肉体関係を持った。被告Y1は,その日,Aから,夫である原告が府中刑務所の受刑者であることを告げられたが,それに対し,「毒を食らわば皿まで」と述べた。

エ 被告Y1は,その後も,Aに,「また会いたい」,「早く会いたい」などというメールを送信し,Aがこれに応じる返信をしたり,電話をするなどして,月に2,3回の割合で会い,継続的に肉体関係を持った。また,被告Y1とAは,性行為の様子をAの携帯電話で撮影していた。Aは,被告Y1から送信されたメールや,撮影した写真等を携帯電話で保存し,削除することはしなかった。

オ 被告Y1は,Aに電話をかけ,その途中で同僚と替わったりすることもあったが,Aは,その同僚に対し,被告Y1の妻のように振る舞った。Aは,被告Y1に対して,同僚と話をさせるのはやめてほしいと言うことはなかった。

カ 原告は,平成16年12月25日,出所したが,被告Y1とAとの関係は,その後も続いた。

キ 被告Y1とAとの関係は,平成17年5月ころまでに,原告が知るところとなり,原告とAは,同月5日に離婚した。しかし,原告は,その数週間ないし2か月位後,Aに復縁を申し出て,それ以後,原告とAとは,話をしたり,肉体関係を持つことになった。

ク 被告Y1とAは,お互い,結婚することも視野に入れていたが,被告Y1は,平成18年1月ころ,Aに対し,娘の手前Aとは結婚できないなどと告げて交際を解消した。

ケ 原告は,その後,被告Y1や府中刑務所に対し,同被告とAとの不貞行為について,損害賠償を求めることなどを内容とする電話をかけるようになった。

(2) 上記の各事実に照らせば,被告Y1とAの交際は,それぞれの自由意思で開始されたものというべきであり,被告Y1が,原告を管理監督する立場であることを利用して,Aに肉体関係を迫ったり,Aを泥酔状態にさせて半ば強制的に肉体関係を結んだとする原告の主張は理由がない。また,その後の交際も,両者の自由な意思で継続されたものであり,被告Y1において,刑務官である立場を殊更利用して,Aと肉体関係を継続させたとする原告の主張も理由がない。他方で,Aが被告Y1の公務員としての立場につけ込み,不法に金員を要求するために,不貞行為等をしたとする被告Y1の主張も理由がない。

(3) このように,被告Y1とAは,互いに好意を抱き,それぞれの自由意思により継続的に肉体関係を持ったものであり,被告Y1は,これによりAの夫である原告に生じた損害を賠償する責任(民法709条)がある。

2 争点(2)ア(被告Y1の不貞行為に係る被告国の責任の有無)
 原告は,被告Y1のAとの不貞行為は,同被告の刑務官としての職務内容と密接に関連し,国家賠償法1条1項の「その職務を行うについて」行われたものであると主張する。しかし,前記のとおり,Aは,その自由意思で被告Y1との交際を始め,肉体関係を持ち,その関係を継続したものであり,被告Y1が,刑務官としての地位を背景に,受刑者の妻であるAに交際を迫った事実を認めることはできず,被告Y1とAとの間の不貞行為が,被告Y1の職務執行行為でないことはもとより,職務行為に密接に関連する行為であるとも認められない。
 したがって,被告国は,被告Y1とAとの不貞行為について,原告に対し,国家賠償責任を負うことはない。

3 争点(2)イ(Bの管理監督責任の懈怠に係る被告国の責任の有無)
 原告は,Bが,被告Y1が受刑者の妻であるAとが不貞関係にあることを知り,もしくは容易に知ることができたにもかかわらず,両名の関係を放置したことが,Bの管理監督義務違反に当たると主張する。しかし,前記のとおり,被告Y1は,職場の同僚とAとを電話で話をさせたことはあったものの,そのような際には,Aは同被告の妻であるかのように振る舞っていたのであり,職場の同僚や上司が,被告Y1が不貞をしていること,ましてや受刑者の妻と肉体関係を継続していることを知り,若しくは容易に知ることができたと認めるに足りる証拠はない。したがって,原告の上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。

4 争点(3)(原告の損害額)について
 原告は,服役中に,妻であるAが刑務官である被告Y1と肉体関係を持ち,これを約1年間の期間継続してきたことを知り,大きな精神的な苦痛を受けたことは想像に難くない。原告が,Aと被告Y1との不貞行為を知るや,直ちに離婚を決意し,離婚届を出したこともこれを裏付けるものである。しかし,他方で,原告は,離婚後,程なく,Aに復縁を申し入れ,その後,両者は肉体関係を持つなど,両者の関係は修復されてきている。また,Aは,原告と事実上の夫婦であった時期にも,他の男性と肉体関係を持ったことがあり,被告Y1と肉体関係を持つに至った前記経緯等(性行為中の写真を撮ることなども含む。)からも,男性と肉体関係を持つことにつき抵抗感が比較的少ない女性であることが窺われ,原告もそのことを知っていたと推認できる。そして,これらのことに,原告が被告Y1に対し,損害賠償を請求してきたのは,原告とAとが離婚した直後ではなく,被告Y1とAとの交際が終わった直後であることなども総合して考えれば,被告Y1の前記不法行為によって原告に生じた精神的損害を金銭に見積もると,100万円が相当である。


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