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フレンドリーペアレントルール採用平成15年1月20日東京高裁決定紹介2

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平成28年 4月 6日:初稿
○「フレンドリーペアレントルール採用平成15年1月20日東京高裁決定紹介1」の続きです。

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(1) 以上を前提とすると、戸籍の上では、抗告人と被抗告人の協議離婚が成立しており、抗告人が事件本人らの親権者とされており、被抗告人は非親権者であるが、協議離婚の成立自体に疑義がある上、少なくとも事件本人らの親権者の指定については、協議離婚届提出前に両者の間で協議が調うに至っていたとは認め難く、事件本人らの親権については、未だ抗告人と被抗告人が共同してこれを行使する状態にあるものと見る余地が十分あるというべきである。

(2) そこで、抗告人と被抗告人のいずれが事件本人らを監護するのが事件本人らの福祉に合致するかについて検討する。
〈1〉 1の前提事実によれば、双方とも事件本人らに対する愛情、監護に対する意欲は十分であり、その監護態勢は、住環境の面では抗告人の住居が優るといえるものの、監護養育能力や経済的な面ともに大差はなく、また、事件本人らは、現在、抗告人の下で一応安定した生活を送っていることが認められる。
 そこで、抗告人は、事件本人らの現在の監護養育状況に特に問題がない以上、事件本人らの福祉のためには、監護の継続性を尊重し、現状を維持すべきである旨主張する。

〈2〉 しかしながら、出生時から別居するに至るまで事件本人らを主として監護養育してきたのは専業主婦であった被抗告人であり、別居後2年余りが経過していることを考慮しても、事件本人らと被抗告人との精神的結びつきや母親への思慕の念はなお強いものがあり、事件本人C及び同Dは、被抗告人の下で生活したい旨の意向を明確に示している。事件本人Bは、態度を明確にしていないものの、必ずしも現状に満足しているわけではないし、母親を慕う気持に変わりはないと推測される。
 これに対し、抗告人は、事件本人らは被抗告人との生活を少なくとも現時点では希望していないと主張し、抗告人と生活することを希望する旨記載した事件本人らの被抗告人宛ての手紙を提出する。

 しかし、事件本人らとしては、両親が激しく対立する中で父親から母親の下で生活することを希望するかと尋ねられれば、父親に対する配慮もあって、自分の本心を素直に表現することは事実上困難であり、事件本人らの上記手紙は、その文面からも、事件本人らの真意を表したものとは直ちに認め難いといわざるを得ない。したがって、抗告人の主張は採用することができない(抗告人が事件本人らに対して被抗告人の下へ引っ越したいかどうかを尋ね、上記手紙を書かせたのは、事件本人らを自ら養育したいと強く望む余り、事件本人らの心情への配慮を欠くものであり、子の福祉の観点からも決して望ましいことではない。)。

〈3〉 本件記録によれば、事件本人らは、抗告人が被抗告人に対して暴力を振るったことを目撃し、恐かったことを記憶しており、事件本人C及び同Dは、抗告人に対する違和感を払拭できないでいることが認められる。
 そして、抗告人が別居後まもなくEを同居させたことについて、抗告人は、事件本人らの母親代わりの女性が必要であると考えたことによるものであり、短期間で解消したから問題はない旨主張するが、上記経緯に照らし、事件本人らの心情に対する配慮に欠けているというほかない。

〈4〉 子は、父母双方と交流することにより人格的に成長していくのであるから、子にとっては、婚姻関係が破綻して父母が別居した後も、父母双方との交流を維持することができる監護環境が望ましいことは明らかである。
 しかし、抗告人は、1で認定した原審審判期日に合意した被抗告人と事件本人らとの月1回の面接交渉の実施に対して非協力的な態度をとっている。これについて抗告人は、事件本人らの都合ないし希望によるものである旨主張するが、事件本人らが抗告人に気兼ねして本心を表明することができない心情に対する配慮に欠けるものである。

 そして、本件記録によれば、抗告人が合意に反して面接交渉の実施に非協力的な態度をとり続けるため、合意に基づいて面接交渉の実施を求める被抗告人との間で日程の調整をめぐって頻繁に紛争が生じ、そのため抗告人と被抗告人の対立が更に悪化するという事態に陥っており、抗告人のこのような態度が早期に改善される見込みは少ないことが認められる。

 このような父母の状況が事件本人らの情緒の安定に影響を及ぼし、抗告人と被抗告人の対立に巻き込まれ、両者の板挟みになって両親に対する忠誠心の葛藤から情緒的安定を失い、その円満な人格形成及び心身の健全な発達に悪影響を及ぼすことが懸念される(事件本人Bが、面接交渉をめぐる抗告人と被抗告人の対立に巻き込まれて、精神的なストレスが高まったことから、じんましんと嘔吐の症状が出たことは、その表れと見られる。)。これに加えて、事件本人Bは中学2年生、事件本人Cは小学校5年生、事件本人Dは小学校3年生であり、いずれも人格形成にとって重要な時期にあることを考慮する必要がある。

 そうすると、抗告人との面接交渉について柔軟に対応する意向を示している被抗告人に監護させ、抗告人に面接交渉させることにより、事件本人らの精神的負担を軽減し、父母双方との交流ができる監護環境を整え、もって事件本人らの情緒の安定、心身の健全な発達を図ることが望ましいというべきである。
 抗告人は、抗告人が被抗告人と事件本人らとの面接交渉に支障を生じさせたことは一切なく、したがって、現在の生活環境の下で事件本人らへの心理的な悪影響はなく、むしろ元気に生活している旨主張するが、採用することができない。

〈5〉 以上によれば、事件本人らを被抗告人に監護させることが事件本人らの福祉に合致するものというべきである。
 抗告人は、事件本人らを被抗告人に引き渡すとなると、転校を強いられることになり、事件本人らの生活の中心である学校環境を変えることによって、事件本人らの生活に重大な影響が生じると主張するが、被抗告人は、事件本人らの転校を回避するために○○町内に新たな住居を定めるつもりでおり、本件記録によれば、そのための準備を進めていることが窺われるから、抗告人の主張は採用することができない。

3 抗告人は、以上に摘示した主張の他にるる主張するが、いずれも以上の認定・判断を左右するに足りるものではない。

4 なお、付言するに、被抗告人に事件本人らを監護させることとした理由は上記説示のとおりであるから、被抗告人が事件本人らの引渡しを受けた後の抗告人と事件本人らとの面接交渉については、抗告人と被抗告人及び両代理人弁護士が協力して、早期に面接交渉のルールを設定することが望まれる。

よって、上記と同旨の原審判は相当であって、本件抗告はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 大藤敏 裁判官 高野芳久 三木素子)

〔参考〕 許可抗告審(最高裁第三小法廷 平15(許)14号 平15.5.14決定棄却)
抗告許可申立理由書

 原決定及び原原決定は、最高裁判所の判例及び抗告裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断があり、かつ、法令(民法766条、同819条、家事審判法9条1項乙4号、同7号、家事審判規則52条の2、同53条)の解釈に関する重要な事項を含むものである。
 すなわち、原決定は、協議離婚届が受理されている場合に親権の共同行使状態をなお認めているが、戸籍上親権者でない者に親権を認める余地があるのか、また、余地があると解する場合、その基準、身分関係の画一的処理の要請との整合性、その内容(居所指定権のみでなく、懲戒権、職業許可権、財産管理権をも含むのか)等の各点について明らかでない。

 また、子の引渡しの判断基準について、監護継続の原則などの一応の判断基準が集積されているが、これを一般論として明確にした最高裁判所判例はまだない。

 申立人は、以上の各点について、最高裁判所の判断を求めたく、抗告の許可を申し立てる。以下に理由を詳述する。

第1 原決定は、戸籍上親権者でない者に親権の共同行使を認め、子の引渡しを請求する権利を認めているが、その理由、要件、効果については何ら明らかにしていない。
1 子の引渡しを求める権利は、監護権者がその監護権に基づいて有する権利である。
 申立人(父、原決定抗告人)と相手方(母、原決定被抗告人)は、戸籍上、平成12年11月29日に事件本人らの親権者を申立人と定めて協議離婚届出をしており、離婚が有効に成立している。したがって、戸籍上は相手方は親権者ではなく、監護権者でもない。
 非親権者、非監護権者である親から、親権者である親に対して子の引渡しを求める場合は、親権者変更の手続きを要するとされているのであるから〈1〉、非親権者、非監護権者である相手方による、親権者変更の手続きを経ない引渡し請求は、法律上の根拠を欠くものである。

2 ところが、原決定は、「協議離婚の成立自体に疑義がある上、少なくとも事件本人らの親権者の指定については、協議離婚届け提出前に両者の間で協議が調うに至っていたとは認めがたく、事件本人らの親権については、未だ抗告人と被抗告人が共同してこれを行使する状態にあるものと見る余地が十分にあるというべきである。」との判断を示した。

 相手方が申立人に対して、協議離婚無効確認の訴えを提起し、現在も係属中である(横浜地方裁判所横須賀支部平成13年(タ)第○号)ことを考慮したのかもしれないが、当事者間の協議離婚の有効性及び親権者指定協議の有効性は、当該訴訟が係属している裁判所の審理に委ねるべきであるのに、原決定は、主張と証拠に基づかずに、審判対象事項ではない事項について判断したと言わざるを得ない。
 協議離婚無効確認の訴えは、ようやく証人尋問手続きに入った段階である。

 申立人は、別居後離婚届提出までの約1ヶ月の間に、申立人が親権者となることを前提として当事者間で解決金の金額及び支払い方法についての協議が行われていた事実、及び、相手方が離婚調停申立てを準備している事情を申立人に伝えなかったので申立人は相手方の翻意を知り得なかった事実を証拠に基づいて主張し、協議離婚及び親権者指定の有効性を主張して争っている。

 したがって、証拠調べ手続き未了の現段階では、親権者指定の有効性について一定の判断をすることはおよそ不可能なはずである。
 この点においても、原決定は尚早な判断を示している。

3 原決定は、相手方に監護権があることを明言したものではなく、「親権を共同して行使する状態にあるものと見る余地が十分にある」とあいまいな表現をしている。
 原決定がこのような判断をしたのは、別訴で係争中であることを考慮した故であると思われるが、身分関係の画一的処理の要請といかに整合性をもたせるのか、疑問である。
 法律上、親権者を要件とする事項は多く、たとえば、児童福祉法27条4項は都道府県が児童を施設に入所措置する際に親権者の同意を要件とする旨規定している。戸籍上親権者でない者について、親権の共同行使を認めるのであれば、これら親権を基準とする諸制度との整合性を持たせなければならない。

4 また、原決定が親権の共同行使を認める内容として、居所指定権のみならず、懲戒権、職業許可権、財産管理権をも含むとしているのか明らかでない。職業許可権、財産管理権についても含むとすれば、私人間の取り引きに際しては戸籍謄本を示して親権者の確認をしているのだから、取引の安全は害される。

 一般に、父母が離婚の際に、親権から監護権のみを分離する場合があるが、この場合は監護権のみを分離する特段の合意をしている。原決定が、居所指定権のみについて共同行使を認めるとしているのであれば、親権から居所指定権のみを分離する特段の事情をどのように解しているのか明らかでない。

5 一般に、協議離婚の際、夫婦の一方が署名捺印だけした離婚届を交付して、他方に提出を委ねることはよく行われていることであるが、原決定の立場によれば、委託された離婚届を提出してもなお、離婚無効確認訴訟が提起される抽象的な可能性がある限り、無期限に親権の共同行使を認め続けることになり、身分関係の画一的処理の要請、身分関係の法的安全性の要請に反し、不当な結論である。

 あるいは、原決定は、離婚無効確認訴訟が提起された時にはじめて監護権の共同行使状態が回復するとしたのかもしれないが、身分関係の画一的処理の要請、身分関係の法的安定性の要請に反することに変わりはない。
 原決定の立場のように、協議離婚が有効に受理されているにもかかわらず、親権の共同行使を認めるならば、その基準を明らかにしなければ身分関係の画一的処理の要請、身分関係の法的安全性の要請に著しく反する。

6 原決定のように、親権の共同行使状態を観念すると、結局協議離婚の有効性、親権者指定協議の有効性が認められた場合には、協議離婚後に離婚無効確認訴訟を提起しさえすれば、法律上の明文の根拠なしに、親権の一時的な復活を認めることになり、結論として不当である。

7 申立人は、身分関係の画一的処理の要請及び、法的安定性の重要性に鑑みて、協議離婚届が有効に受理されている場合には、たとえ協議離婚及び親権者指定協議の有効性に疑義があるとしても、協議離婚無効確認訴訟や親権者指定無効確認訴訟の確定によって、決着をつけるべきであって、係争中に共同行使を認めるべきではないと解する。


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