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別居1年半で有責配偶者からの離婚請求が認められた判例まとめ

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平成27年10月 5日(月):初稿
○「別居1年半で有責配偶者からの離婚請求が認められた判例全文紹介1」以下で紹介した平成27年5月21日札幌家庭裁判所判決(LLI/DB 判例秘書)のまとめです。

○離婚請求のための要件事実は、「婚姻破綻」に尽きるもので、「婚姻破綻」とは①夫婦としての信頼・絆が完全に切れたこと(主観的側面)、②回復の見込みがないこと(客観的要件)の二つが認められる夫婦の状態を言うとされています。これに対し、「婚姻破綻」が「専ら原告の有責性」のためであり、離婚請求が信義則に違反するとの主張は、被告の抗弁であり、被告側に主張・立証責任があります。

○前記札幌家裁判決は、別居期間が僅か1年半ですので、先ず「婚姻破綻」が強く争われましたが、婚姻及び婚姻破綻の経緯概要は次の通り、認定されました。
・平成8年11月婚姻、平成10年長男、平成12年長女が誕生、平成13年夫名義中古住宅購入
・平成20年妻が夫名義でクレジット利用・平成21年夫学資保険解約金90万円を妻に交付
・平成21年婚姻後専業主婦であった妻がパート勤務開始、夫は婚姻後継続して建設会社勤務
・平成22年妻の200万円の借金判明、夫銀行借入金で妻の借金返済、夫が妻に家計簿つけてみせるよう要求するも妻は従わず、妻は借金を繰り返す
・平成24年3月夫単身赴任、夫の求めに対し妻「そんなにエッチがしたいなら風俗店にでも行ったら」と述べる、同年10月夫婦の性関係は途絶え、同年11月、夫赴任先スナックホステスと不貞関係
・平成24・25年子らと共に家族旅行実施
・平成25年2月夫単身赴任終了し妻と同居再開、同年3月夫婦ケンカとなり妻離婚届書夫に交付し夫署名押印後妻破り捨てる、同年4月再度単身赴任・赴任先でホステスと同居
・平成25年9月妻が自宅鍵を交換して夫が自宅に入れないようにする、夫婦のメールの遣り取りは口論ばかりになる
・平成25年9月妻がホステスに慰謝料請求訴訟提訴・その後夫の妻に対する離婚訴訟と移送後併合
・平成25年10月、夫ホステスと同居、妻とは別居、夫が妻に離婚調停
・平成26年2月夫が妻に離婚請求訴訟提起


○この経緯から、判決は、「平成25年9月6日に自宅のドアの鍵を取り替えた上,同月16日の本件鍵取替後の一件に及ぶに至って,被告Y1(妻)の,原告X1(夫)に対する恐怖の情及び嫌悪の情が外形的にも明らかとなったということができる。そうすると,この時点において,主観的にも,客観的にも,本件婚姻関係が完全に破綻するに至ったものというべきである。」と認定しました。

○有責配偶者である夫から妻に対する離婚請求が信義則に違反するかどうかについては、夫の不貞行為が婚姻関係破綻の最も大きくかつ直接的な原因であるが,妻にも杜撰な家計管理等の一定程度の有責性があること,婚姻期間が約18年半であるのに対して別居期間が約1年半であり,また,当事者間に就学前の未成熟子である長男及び長女がおり,さらに,離婚により妻が一定程度経済的に余裕のない状態となるが,別居に至った直接のきっかけは妻が自宅の鍵を取り替えて夫が自宅に戻ることを不可能としたことであること,子らは比較的年長者であること,妻が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等夫からの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するということのできるほどの特段の事情を認めるには至らないことからすると,夫からの離婚請求が信義則上許されないものということはできないとして離婚を認容しました。

○これまでの裁判例からすると別居期間僅か1年半での有責配偶者離婚認容は、驚異的です。「被告Y1(妻)にも,杜撰な家計の管理や,安易で多額な原告X1名義での借金の繰り返し,原告X1に風俗店の利用を勧めるなどの配慮を欠いた言動に及んだこと,本件鍵取替後の一件等,本件婚姻関係の破綻に至る経緯において,一定程度の有責性がある」として妻の有責性を離婚認容の大きなポイントにしており、有責配偶者離婚請求には大変参考になります。おそらく札幌高裁に控訴されており、その結論が気になります。
以上:1,677文字

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