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養育料終期等に関する東京地裁平成17年2月25日全文紹介3

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平成26年12月17日:初稿
○「養育料終期等に関する東京地裁平成17年2月25日全文紹介2」の続きです。





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(2)
ア そこで、これを本件についてみるに、証拠(甲第4号証、乙第2、第7、第8、第11号証、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、他に同認定を覆すに足りる証拠はない。
(ア) 原告と被告は、昭和44年4月にa大学商学部に入学した同窓生であるところ、同大学在学中に知り合い、同大学卒業後の昭和52年2月17日に婚姻した。
(イ) 原告と被告は、昭和56年4月、Aをa幼稚舎に入学させるに当たって、受験に備えるべく都内の幼稚園に入学させることにし、そのころから、原告は、Aと本件建物に居住し、被告と別居するようになった。なお、原告は、昭和62年3月30日に被告と離婚した後も、Aらとともに本件建物に居住し、同人らを養育していた。
(ウ) Aは、昭和59年にa幼稚舎を受験したが不合格となった。なお、被告は、同試験の際の親子面接に出席しなかった。その後、Aは、平成2年にa中等部を、平成5年にa女子高等学校の入学試験をそれぞれ受験したが、いずれも不合格となった。なお、Aは、平成15年12月6日に婚姻し、それ以後、原告とは生計を異にしている。
(エ) Bは、平成元年4月、a幼稚舎に入学し、平成7年4月からa普通部(中学校)に、平成10年4月にa藤沢高校に入学したが、平成11年、同高校を中途退学した。
 その後、Bは、平成14年4月8日から、英国ロンドン所在のcスクールのポピュラーミュージック演奏の1年制ディプロマ(卒業資格取得)コース(以下「本件音楽学校」という。)に入学し、同年12月22日に同コースを終了して帰国した。その後、Bは、原告とともに本件建物に同居し、アルバイトを続けながら音楽の勉強を継続していた。
 なお、本件音楽学校の1年制ディプロマコースは、在籍者全員に正規学生としての資格が与えられ、同コースに係る科目修了認定を得られれば、上級の教育課程に進学することが可能となるものとして位置づけられている。

イ 上記の認定に対し、原告は、Aは、平成9年から米国b大学に進学し、成年に達した時点で同大学に在籍していたと主張するとともに、同趣旨の供述をしているけれども(甲第4号証、原告本人)、Aが同大学に在籍していれば書証として提出されていてしかるべき在籍証明書が提出されておらず、そのことについて原告から合理的な説明もされていないことに照らせば、原告の上記供述のみから、Aが成年に達した時点で上記大学に在籍していたと認めることはできず、他に上記事実を認めるに足りる証拠はない。

ウ 以上の認定事実に基づいて、本件調停条項4項、5項に係る本件養育料等の支払義務の終期について検討する。
(ア) A関係
 Aは、平成9年○月○日に成年に達したものであるが、その時点において、大学に進学していたとまでは認めるに足りず、その後、合理的な期間内に大学に進学することが相当程度の蓋然性をもって肯定できる特段の事情を認めるに足りる証拠はない。
 よって、Aに係る本件養育料等の支払義務は、同人が成年に達した日の前日である平成9年12月5日をもって終了したというべきである。

(イ) B関係
 Bは、平成14年○月○日に成年に達したものであるが、同時点において、本件音楽学校に在籍していたことが認められる。そこで、本件音楽学校が、本件調停条項4項、5項に定める「大学」に該当するかどうか検討する。

 同条項に係る「大学」の意義については、本件調停条項でも特段の合意はされていないことから、一般経験則及び原、被告の調停時における意思を合理的に解釈することにより判断せざるを得ない。しかして、上記各条項について合意した際の原、被告の意思は上記(1)に認定したとおりであるところ、その本意は、Aらに高等教育を受けさせ、いわゆる大学卒業資格を取得させることに主眼が置かれたものということができる。

 このような本件調停時における原、被告の意思に照らしてみる限り、同条項に係る「大学」をして本件建物から通学可能な地域に存在する大学に限定されるとの被告の主張は、理由がないというべきである。

 しかしながら、特段の限定なく「大学」といった場合の一般人の認識としては、いわゆる学校教育法所定の最高学府としての「大学」を想起するのが通常であり、また、原、被告双方とも、調停時において、それと異なる特段の意思を表明していたとの事情を認めるに足りる証拠はなく、かえって、証拠(甲第4号証、乙第9、第11号証、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告と被告は、いずれもa大学の卒業生であったこともあり、本件調停時においても、将来、Aらが母校であるa大学に入学することを望んでいたことが認められるのであって(これに対し、前認定のとおり、被告は、Aのa幼稚舎の入学試験(親子面接)に欠席したことが認められ、原告は、この事実を捉えて、本件調停時において被告に上記の希望はなかった旨主張するけれども、かかる事実があったとしても、被告が本件調停時においてAらについてa大学への進学を望んでいたとの認定を妨げるものではない。原告の上記主張は理由がない。)、このことは、原告と被告が、本件調停条項4項、5項の「大学」について、a大学に限定しないまでも、少なくとも国内の大学を想定していたことを窺わせるものであるといえる。

 以上の諸事情を踏まえ、本件調停条項4項、5項に定める「大学」の意義に関する調停当事者たる原、被告の意思を合理的に解釈すれば、同各項所定の「大学」とは、学校教育法所定の大学を意味するものと解するのが相当というべきであり、他に同認定を覆すに足りる証拠はない。

 そうすると、Bが成年に達した時点で在籍していた本件音楽学校は、上記ア(エ)のとおり、英国所在の学校であり、かつ、その1年制ディプロマコースも上級の教育課程に進学するための準備課程と解されるものであるから、本件調停条項4項、5項所定の「大学」には該当しないと解するのが相当であり、これに反する原告の供述は採用することができない。また、本件全証拠を検討しても、Bが、その帰国後、合理的な期間内に大学に進学することが相当程度の蓋然性をもって肯定できる特段の事情が存在したとまでは認めるに足りない。
 よって、Bに係る本件養育料等の支払義務も、同人が成年に達した日の前日である平成14年○月○日をもって終了したというべきである。


(3) 本件使用貸借契約の終了時期
 本件調停条項6項によれば、本件使用貸借契約の終期は、Aらが大学を卒業する月までと規定されていることが認められる。
 しかして、本件使用貸借契約については、未成年者であったAらの生活基盤を確保することを目的に締結されたものと認められること(原告本人、被告本人、弁論の全趣旨)、返還期限に係る「大学を卒業する月まで」との定めも(本件調停条項6項)、同条項4項、5項の規定ぶりと全く同一であること等の事情に照らせば、その終期も、上記(1)に検討したところが妥当するといえる。それゆえ、本件使用貸借契約も、Aらが成年に達した時点において、現に大学に在籍しているか、あるいは在籍していなかったとしても合理的な期間内に大学に進学することが相当程度の蓋然性をもって肯定できる特段の事情が存在する場合には、同人らが大学を卒業する月をもって本件使用貸借契約の終期とするが、そうでない限り、同人らが成年に達する日をもって弁済期とするとの趣旨で合意されたものと解するのが相当というべきである。

 しかして、Aらについて、成年に達した時点で現に大学に在籍し、あるいは、上記の特段の事情が存在していたと認めるに足りないことは、上記(2)ウに認定したとおりである。
 それゆえ、本件賃貸借契約は、遅くともBが成年に達した日である平成14年○月○日をもって弁済期限の到来により終了したものと解するのが相当である。

(4) 上記(1)ないし(3)の検討に基づき、本件反訴請求の当否について検討する。
ア 債務不存在確認請求について
 上記の検討によれば、本件調停条項4項、5項及び7項に係る被告の金員支払義務並びに同条項6項の本件使用貸借契約に係る使用貸主としての被告の義務が現在も存続しているとの原告の主張は、これを認めるに足りず、かえって、被告の本件養育料等及び本件養育料等増額分の各支払義務は、Aらがそれぞれ成年に達した日の前日(Aにつき平成9年12月5日、Bにつき平成14年○月○日)の満了をもって終了し、また、本件使用貸借契約も平成14年○月○日をもって終了したと認められる。

 それゆえ、本件調停条項4項、5項に係る本件養育料等及び同条項7項に係る本件養育料等増額分の各支払義務(Aについて平成14年8月1日から、Bについて平成14年○月○日から、それぞれ本件口頭弁論終結時(平成17年1月26日)までに発生したとされる部分)及び現時点における上記各金員の各支払義務は、いずれも存在しないと認めるのが相当であり、また、本件調停条項6項に係る原告の使用借権も存在しないというべきである。よって、被告の上記請求はいずれも理由がある。

イ 本件養育料等の過払分返還請求について
 前説示のとおり、Aに対する被告の本件養育費等の支払義務は、平成9年12月5日をもって終了したと認められる。そして、その後、被告が、原告に対し、平成14年7月までのA分に係る本件養育料等として合計1100万円を支払ったことは当事者間に争いがない。
 そうすると、原告が受領した上記1100万円については、原告の不当利得を構成することになるから、原告は、被告に対し、上記金員を支払う義務があるというべきである。

ウ 原告の本件建物の使用利益分の返還請求について
(ア) 原告の不当利得
 上記アのとおり、本件使用貸借契約は、平成14年○月○日をもって終了したと認められるから、同日以後の原告による本件建物の使用は、無権原でなされていることになり、原告は、その使用利益相当額について、法律上の原因なく利得しているものといわなければならない。
 しかして、乙第1、第5号証及び弁論の全趣旨によれば、本件建物の使用利益相当額は、1か月当たり36万5000円であると認められるから、原告の利得額は、平成14年○月○日から平成15年9月30日までは485万0967円、平成15年10月1日から本件建物明渡し済みまでは一か月当たり36万5000円と認められる。

(イ) 被告の損害
 前記前提事実のとおり、本件建物の所有者は、被告の母であるCであるところ、証拠(乙第11号証、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、本件調停に際し、原告及びAらが本件建物に居住していたこともあって、その生活環境等を確保する趣旨でCから本件建物の使用の許諾を得て、原告との間で本件調停条項6項に係る本件使用貸借契約を締結したことが認められる。そうすると、被告は、本件建物について所有者ではないとしても、その使用を所有者たるCから許諾されることにより、独自の使用権原を有していると解されるから、上記(ア)の原告の利得額と同額の損害を被っているものと認められる。

(ウ) これに対し、被告は、Aが成年に達した日からBが成年に達する日の前日まで、本件建物の使用利益の半額について、原告に不当利得が存在すると主張するけれども、前説示のとおり、Aが成年に達した時点では、いまだBは成年に達しておらず、そうである以上、原告との間の本件使用貸借契約の終期も到来していないといわなければならない。よって、被告の上記主張は理由がない。

(エ) 以上の検討によれば、被告の上記請求は、平成14年○月○日から平成15年9月30日までの確定損害金合計485万0967円及び平成15年10月1日から本件建物明渡し済みまで1か月につき36万5000円の割合による不当利得金の支払を求める限りで理由がある。

3 結論
 よって、原告の本訴請求は理由がないから棄却し、被告の反訴請求は、平成9年○月○日から平成14年○月○日までの原告の本件建物の不法占有に係る不当利得金の返還を求める部分を除き、理由があるから、これを認容することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法61条、64条本文を、仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。(裁判官 片野正樹)

 調停条項
1 申立人と相手方とは、本日協議離婚をすることに合意し、双方離婚届に署名押印して、申立人はその届け出を相手方に委託した。相手方は、速やかに上記の届け出を行う。
2 申立人と相手方との長女並びに長男の親権者を父である相手方、監護者を母である申立人と定める。
3 相手方は、申立人に対し、本件離婚に伴う慰謝料として金3000万円の支払義務があることを認め、これを昭和62年7月末日限り申立人代理人事務所(略)に持参又は送金して支払う。
4 相手方は、申立人に対し、昭和62年4月から長男長女がそれぞれ大学を卒業する月まで、同人らの養育料及び扶養料として1人につき月額10万円、教育費として1人につき月額5万円、以上合計30万円を毎月26日限り申立人方に送金して支払う。
5 相手方は、申立人に対し、昭和62年4月から長男長女がそれぞれ大学を卒業する月まで、同人らの養育・監護等の費用として1人につき月額5万円合計10万円を毎月26日限り申立人方に送金して支払う。
6 相手方は、申立人に対し、申立人並びに長女長男の住居として長女長男が大学を卒業する月まで申立人並びに長女長男が現住している住居(東京都目黒区〈住所以下省略〉)を無償で提供する。やむなく申立人らが現住居を明渡す場合には、かわりの住居(3LDK)を提供する。
7 第4項、第5項の金員は、原則として年毎に総務庁統計局編集の消費者物価指数編東京都区部の総合指数に基づいて増額し、教育費については入学金等特別の出費を別途に相手方は負担する。
 (なお、「申立人」は本訴原告(反訴被告)を、「相手方」は本訴被告(反訴原告)をいう。)

 物件目録
  所在  目黒区〈住所以下省略〉
  家屋番号 〈省略〉
  種類  居宅
  構造  木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
  床面積 1階 106.55平方メートル
      2階  88.72平方メートル

 支払一覧表〈省略〉
以上:5,935文字

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