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不貞行為第三者に対する請求を権利濫用とした最高裁判決解説

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平成25年11月23日:初稿
○「不貞行為第三者に対する請求を権利濫用とした最高裁判決全文紹介1」の解説です。
平成8年6月18日最高裁判決(家月48巻12号39頁)の第一審は奈良地裁葛城支部、第二審は大阪高裁です。残念ながら、第一審奈良地裁葛城支部・第二審大阪高裁の判決全文データがありませんが、一審は請求棄却だったものが、二審の大阪高裁で金110万円の支払が認められました。

○最高裁の「原審(大阪高裁)の確定した事実関係の大要」で、「被上告人は、平成2年12月6日午後10時ころ「C」に来店し、上告人に対し、他の客の面前で「お前、男欲しかったんか。500万言うてん、まだ、持ってけえへんのか。」と言って、怒鳴ったりした。また、被上告人は、同月9日午後4時ころ電話で500万円を要求した上、午後4時20分ころ来店し、満席の客の面前で怒鳴って嫌がらせを始め、Aも、午後4時40分ころ来店し、嫌がらせを続けている被上告人の横に立ち、「俺は関係ない。」などと言いながらにやにや笑っていたが、上告人が警察を呼んだため、2人はようやく帰った。」との記述に感じたのは、「なんだ、これは、恐喝であり、美人局そのものではないか」と言うことです。

○美人局とは、日本語俗語辞書では、「夫婦で打ち合わせた上で妻が他の男と会い、妻とその男が色恋的な関係を持った(又は持ちそうになった)ことを言いがかりに、夫が男から金銭をゆすることである(男女の共謀であれば夫婦以外でも使われる)。」と解説されています。一般に、美人局の被害者は、男性ですが、本件は女性を被害者とした美人局と評価出来ます。上告審が要約する事実からは明らかではありませんが、上告理由においては、具体的事実を挙げて、被上告人とA間の婚姻は、Aの二度に渡る不貞後も破綻しておらず、被上告人はAを免罪している旨の指摘もありますので、正に美人局です。

○驚き、呆れたのは、大阪高裁の「上告人は、Aに妻がいることを知りながら、平成2年9月20日以降Aと肉体関係を持ったものであるところ、肉体関係を持つについてAからの誘惑があったことは否定できないが、上告人が拒めない程の暴力、脅迫があったわけではなく、また、被上告人とAとの婚姻関係が破綻していたことを認めるべき証拠もないから、上告人は、被上告人に対してその被った損害を賠償すべき義務がある」との判断です。

○地裁の判断は、原則1人で行いますが、高裁は3人で、且つ、裁判長裁判官は通常、地裁の裁判官よりズッと経験の長い年長の裁判官です。地裁では請求を棄却したこの事案について、大阪高裁では、裁判官3人が一致して上記理由で、金110万円もの支払を認めたのには、ただただ呆れたと言うしかありません。おそらく最年長の裁判長が、不貞行為はダメなものはダメとの頑迷な信念を持っていたものと思われます。

○それにしても、「他の客の面前で『お前、男欲しかったんか。500万言うてん、まだ、持ってけえへんのか。』と言って、怒鳴ったりした」、「被上告人は、同月9日午後4時ころ電話で500万円を要求した上、午後4時20分ころ来店し、満席の客の面前で怒鳴って嫌がらせを始め、Aも、午後4時40分ころ来店し、嫌がらせを続けている被上告人の横に立ち、『俺は関係ない。』などと言いながらにやにや笑っていた」と言う事実を認定しながら、それでも、このような非道な上告人に損害賠償請求を認める感覚は、正に、アンビリーバブルです。私から言わせると、高裁が美人局に手を貸したと評価するしかありません。

○「上告審手続の経験とその備忘録」に「平成22年の上告事件総数1859件の77.7%が審理期間3ヶ月以内で終局し、98.7%が却下または棄却決定で終局し、同年の上告受理事件総数2247件の73.7%が審理期間3ヶ月以内で終局し、96.4%が上告不受理決定で終局しています。この結果を見ると、最高裁は、殆ど開かずの門」と記載したとおり、大雑把に言うと上告事件は100件の内1件、上告受理申立事件は100件の内3件しか通りません。

○本件は、大阪高裁の判断に憲法違反はありませんので、「法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである場合」として上告受理申立がなされ、最高裁が、「これらの事情を総合して勘案するときは、仮に被上告人が上告人に対してなにがしかの損害賠償請求権を有するとしても、これを行使することは、信義誠実の原則に反し権利の濫用として許されない」、「原審(大阪高裁)の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らか」、「被上告人の本訴請求を棄却した第一審判決は相当であり、被上告人の控訴は棄却すべき」としたは、正に常識判断です。
以上:1,955文字

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