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間男・間女は原則責任ありとの昭和54年3月30日最高裁判決紹介

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平成24年 2月23日:初稿
○「自然の愛情故の責任無し昭和50年12月22日東京高裁判決紹介」の続きで、その上告審昭和54年3月30日最高裁判決(判時922号3頁)を紹介します。
昭和50年12月22日東京高裁判決(判時810号38頁)では、自然の愛情故責任無しとしたものが、今度は、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持つた第三者は、故意又は過失がある限り、原則として、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被つた精神上の苦痛を慰藉すべき義務があるとしています。ここでは、被侵害法益を「夫権(妻権)」ととらえ、これに第三者効(対世効)を認めて物権類似に扱い、過失責任をも肯定していることが注目され、この考えに対し、多数の論説が発表されましたが、多くは、批判的でした。

○この判決は、夫婦の一方と肉体関係を持ち、同棲するに至った第三者は、夫婦間の未成年の子に対して不法行為責任があるかという問題について、初めて正面から判断を示した最高裁判決として有名で、原則として責任はないとしています。

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主文
   原判決中上告人Bに関する部分を破棄し、右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
   上告人C、同D、同Eの本件上告を棄却する。
   前項に関する上告費用は、同上告人らの負担とする。 
 
理由
 上告代理人信部高雄、同大崎勲の上告理由中上告人Bに関する部分について
 原審は、
(1)上告人Bと訴外Fとは昭和23年7月20日婚姻の届出をした夫婦であり、両名の間に同年8月15日に上告人Cが、昭和33年9月13日に同Dが、昭和39年4月2日に同Eが出生した、
(2)Fは昭和32年銀座のアルバイトサロンにホステスとして勤めていた被上告人と知り合い、やがて両名は互に好意を持つようになり、被上告人はFに妻子のあることを知りながら、Fと肉体関係を結び、昭和35年11月21日一女を出産した、
(3)Fと被上告人との関係は昭和39年2月ごろ上告人Bの知るところとなり、同上告人がFの不貞を責めたことから、既に妻に対する愛情を失いかけていたFは同年9月妻子のもとを去り、一時鳥取県下で暮していたが、昭和42年から東京で被上告人と同棲するようになり、その状態が現在まで続いている、
(4)被上告人は昭和39年銀座でバーを開業し、Fとの子を養育しているが、Fと同棲する前後を通じてFに金員を貢がせたこともなく、生活費を貰つたこともない、
ことを認定したうえ、Fと被上告人との関係は相互の対等な自然の愛情に基づいて生じたものであり、被上告人がFとの肉体関係、同棲等を強いたものでもないのであるから、両名の関係での被上告人の行為はFの妻である上告人Bに対して違法性を帯びるものではないとして、同上告人の被上告人に対する不法行為に基づく損害賠償の請求を棄却した。

 しかし、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持つた第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によつて生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被つた精神上の苦痛を慰藉すべき義務があるというべきである。

 したがつて、前記のとおり、原審が、Fと被上告人の関係は自然の愛情に基づいて生じたものであるから、被上告人の行為は違法性がなく、上告人Bに対して不法行為責任を負わないとしたのは、法律の解釈適用を誤つたものであり、その誤りは、判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨はこの点において理由があり、原判決中上告人Bに関する部分は破棄を免れず、更に、審理を尽くさせるのを相当とするから、右部分につき本件を原審に差し戻すこととする。

 同上告理由中上告人C、同D、同Eに関する部分について
 妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持つた女性が妻子のもとを去つた右男性と同棲するに至つた結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなつたとしても、その女性が害意をもつて父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど特段の事情のない限り、右女性の行為は未成年の子に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。けだし、父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によつて行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被つたとしても、そのことと右女性の行為との間には相当因果関係がないものといわなければならないからである。

 原審が適法に確定したところによれば、上告人C、同D、同E(以下「上告人Cら」という。)の父親であるFは昭和32年ごろから被上告人と肉体関係を持ち、上告人Cらが未だ成年に達していなかつた昭和42年被上告人と同棲するに至つたが、被上告人はFとの同棲を積極的に求めたものではなく、Fが上告人Cらのもとに戻るのをあえて反対しなかつたし、Fも上告人Cらに対して生活費を送つていたことがあつたというのである。したがつて、前記説示に照らすと、右のような事実関係の下で、特段の事情も窺えない本件においては、被上告人の行為は上告人Cらに対し、不法行為を構成するものとはいい難い、被上告人には上告人Cらに対する関係では不法行為責任がないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができ、この点に関し、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

 よつて、民訴法407条一項、396条、384条、386条、95条、89条、93条に従い、裁判官大塚喜Fの補足意見、裁判官本林譲の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


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