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有責配偶者の離婚請求を認めた大阪高裁判例紹介4

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平成23年11月15日(火):初稿
○「有責配偶者の離婚請求を認めた大阪高裁判例紹介3」を続けます。
今回は最終回のまとめです。この判例紹介は、当事務所HPへの質問メールがきっかけですが、現在当事務所でも、一度、敗訴覚悟で提訴して2回目の離婚の訴え提訴時期をうかがっている事案が、複数あり、今回紹介した大阪高裁の事案は、2回目の提訴時期を決めるのに大変参考になりました。

先ず事案概要
夫A、妻B、長男C、二男D、夫の愛人Eと判決文とは当事者表記を変えます。
ABは、昭和61年2月婚姻届け、昭和63年12月長男C、平成2年7月二男D出生、
Aは平成2年9月からE女と男女関係になり、平成6年5月から自宅を出て別居、平成11年7月からEと同居し現在に至る。
Aは、平成5年、12年、13年の3回離婚調停、平成14年離婚訴訟敗訴、翌15年控訴棄却、
平成17年4回目の離婚調停不調後、2回目の提訴、一審敗訴し、その控訴審が本件判決。

※Aは、兎に角、離婚したかったのでしょう、5回も離婚調停を出し不調になり、訴えも平成18年8月30日の2回目第一審までは敗訴でした。有責配偶者の離婚実現は大変だと実感しました。

敗訴した平成18年8月30日一審大阪家裁判決概要
婚姻破綻は認められるが、
①未成熟子2人がいずれも病弱で、パート職にある妻Bの雇用情勢は厳しく失職のあそれがある
②Aは過去に婚姻費用を長期間滞納したことがあり、離婚しても養育費の支払が確実に履行されないおそれがある
③A提案慰謝料金額150万円は低額すぎ、財産分与は拒否している
④この状況では、離婚を認めることは、Bを精神的,社会的,経済的に極めて苛酷な状況に陥れることになる

※平成18年8月時点では、別居後12年を経過し、長男は17歳、二男は15歳に達しており、有責配偶者離婚請求が認められても良い外観ですが、未成熟子の病弱、妻Bの経済状態、それに婚姻費用長期滞納実績がネックになったようです。金150万円の慰謝料支払提案は低額すぎるかも知れません。

控訴審での審理状況概要
家裁調査官による子らの意向、監護状況等についての事実調査の上、裁判所和解勧告により
①離婚、親権者指定、養育料については判決手続きでの判断を受ける
②離婚確定後、AはBに対し慰謝料金150万円を直ちに支払う
③Aは、養育費に加えて、二男大学進学時に金150万円を支払う
④本件合意は、Bのその余の請求を制限するモノではない
との一部和解が成立し、AはBに対する分与すべき財産が無いことの確認を求める申立を取り下げました。

控訴審判決の概要
別居期間13年、長男はほぼ自立、二男は父Aに親和性なく離婚に無関心、Aは転職による収入低下で一時婚姻費用支払を遅滞するがその後調停・審判で定まった金額を遅れることなく支払っている、養育料1人当たり金5万円の支払申出があり、且つ慰謝料金150万円と二男大学進学費用金150万円支払の各債務名義が存在し、離婚後のBが過酷な状況に追い込まれるとは評価できず、AB同居期間が8年のところ、別居期間は13年でAE同居期間も8年に達していることから、Aの離婚請求を信義誠実に反するとして棄却することは相当でない。
Bのこれまでの精神的苦痛,子らの養育に尽くした労力と負担,離婚により被る精神的・経済的不利益などについては,慰謝料等の支払や特別に加算された養育費の支払などを通じて補償されるべきである。

本件控訴審判決のポイント
 高裁の和解勧告でB側は、離婚認容止む無しと判断して、慰謝料と二男大学進学費用合計金300万円の債務名義を取得し、且つ1人当たり金5万円の養育料認定も示唆され、高裁判決で確定していますので、いわば出来レースで判決に至ったと思われます。
 何故離婚・親権者指定・養育料だけ判決手続にしたのか、その理由は定かではありませんが、判決になったお陰で有責配偶者の離婚認容の要件の一類型が明らかにされました。別居時の婚姻費用をキチンと支払続けること、離婚後の子供に対する責任履行の具体的条件提示等有責配偶者の離婚請求の際、押さえておくべきポイントが示唆され、大いに参考になります。
以上:1,687文字

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