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有責配偶者の離婚請求を認めた大阪高裁判例紹介3

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平成23年11月14日:初稿
○「有責配偶者の離婚請求を認めた大阪高裁判例紹介2」を続けます。
 この判例全文紹介は、今回が最後で、核心部分の「(3)控訴人の離婚請求が信義誠実の原則に反して許されないか否か」が含まれており、特に18歳の長男と16歳の二男の2人の未成熟子が居る場合の有責配偶者の離婚請求について、信義誠実の原則に反しないとの結論を導く論述は、重要な示唆を与えてくれます。

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(2)婚姻を継続し難い重大な事由の有無
 前記第2の1の前提たる事実及び原判決を補正・補足し引用して示した上記(1)の認定事実によれば,二男の出生直後である平成2年9月からの控訴人のCとの間の継続的な不貞行為,平成4年頃からの家庭内別居,その後平成6年5月3日から現在まで続く別居生活(同年7月別居調停成立),別居後の平成11年7月からの控訴人とCの同居の継続により,別居から約13年,家庭内別居からは約15年を経過した現時点においては,控訴人と被控訴人との間の婚姻関係は,回復が全く不可能な程度に破綻しており,民法770条1項5号に定める離婚事由である婚姻を継続し難い重大な事由があると認められる。

 被控訴人は,控訴人にその気持ちがあるのなら,再び親子4人で生活をしてもよいと思っているというが,控訴人は,被控訴人との夫婦共同生活を再び始める意思を全く持っていない。そして,長期間別居し,別居後,控訴人はCと同居し夫婦同然の内縁関係を続け,その間,調停,審判,訴訟等により争いを重ねてきた今日までの夫婦関係の経過ないし推移をみれば,被控訴人が述べる思いだけでは,夫婦共同生活を再び営むことが可能であるとは,客観的には到底認められない。

(3)控訴人の離婚請求が信義誠実の原則に反して許されないか否か
 上記認定判断によれば,婚姻を継続し難い重大な事由が生じた主たる責任は,二男出生直後からCとの不貞関係を継続し,別居後,実質的な内縁関係を結ぶまでに至った控訴人にあることは明らかである。そして,控訴人と被控訴人との間には,18歳の長男と16歳の二男の2人の未成熟の子がいる。

 しかし,以下の事情に照らせば,控訴人が有責配偶者であり,未成熟の子があるからといって,控訴人の離婚請求を信義誠実の原則に反するものとして棄却すべきものとは認められないというべきである。

 すなわち,未成熟の子があるといっても,長男は間もなく大学進学をして寮生活を始める予定であり,ほぼ自立する状況になっており,家庭裁判所調査官の調査によっても両親の離婚によって心情的な影響を受ける可能性は極めて少ないと判断される。長男は,離婚により控訴人が父親としての経済的責任を果たさなくなるのではないか,就職に不利になるのではないかなど,漠然とした不安を持ってはいるが,いずれも具体的なものではない。むしろ,控訴人は,婚姻費用減額審判がされた後は,月額12万6000円の婚姻費用を遅れずに支払っており,本件訴訟においても,1人当たり毎月5万円の養育費の支払の申出をしているほか,当審における一部和解において,離婚慰謝料150万円のほかに,二男の大学進学費用150万円の支払を約束し,債務名義を作成している。このような事実及び現在の控訴人の社会的な立場からみても,離婚したからといって控訴人が父親としての経済的責任を果たさなくなると予想するのは相当でない。

 二男は,既に3歳の時から控訴人と別居しており,控訴人に親和する気持ちはない。もっとも,家庭裁判所調査官の調査によると二男はかなり屈折した形ではあるが控訴人との関係を求めている可能性はある。しかし,父母の離婚には関心はなく,離婚後のことについても特に心配していない。現在は,高校2年に進学し,熱心に部活動に加わり,大学進学への意欲を示すなどしており,上記において検討した経済的な点はともかくとして,離婚によって二男が心情面で影響を受ける可能性は低いと判断される。

 子らの持病も,現在の症状及び通院状況は,日常生活や学校生活に支障を生じるほどのものではない。医療費の支出額も年間6万円程度にすぎず,将来において,高額の医療費が必要になることが具体的に見込まれているものでもない。被控訴人の生活状況についてみても,不安定なパート勤務とはいえ,大阪への転居後既に約5年間勤続しており,養育費の支払なども考慮すれば,子らの成人に至るまでの生活を支えていくことができると認められ,離婚により精神的,社会的,経済的に極めて過酷な状況に追い込まれる事情は認められない。被控訴人は,パート勤務の不安定なことを主張するが,パート勤務が一般的に不安定な職種であるという程度を超えて,具体的に職業の継続や将来の生活に不安があるとまでは認められない。

 このように,当分の間別居生活を続ける旨の調停が成立した後約13年の別居期間が既に経過しようとしており,別居後,控訴人がCとの間で既に約8年,内縁関係ともいえる同居を続けているのに対し,婚姻後の同居期間は約8年(約2年の家庭内別居の期間を含む。)にとどまり,控訴人と被控訴人はともに46歳に達し,子らも高校生になっていることなどからすると,婚姻関係を破綻させた控訴人の責任及びこれによって被控訴人が被った精神的苦痛や前件離婚訴訟で詳細に認定されている生活の苦労などの諸事情や,さらには前件離婚訴訟の確定後の期間等の点を考慮しても,今日においては,被控訴人の婚姻継続の意思及び離婚による精神的・経済的・社会的影響などを重視して,控訴人の離婚請求を信義誠実に反するものとして棄却するのは相当でない。

 被控訴人が今日までに受けた精神的苦痛,子らの養育に尽くした労力と負担,離婚により被る精神的・経済的不利益などについては,慰謝料等の支払や前記のように特別に加算された養育費の支払などを通じて補償されるべきものであって,そのために本件離婚請求自体を容認できないものということはできない。

3 親権者の指定について
 子らの親権者の指定については,被控訴人を親権者として指定すべきことについて両親間において意見が一致している。被控訴人の監護実績や当審における家庭裁判所調査官による事実調査の結果によってうかがわれる子らの親権者指定についての真意等からしても,子らの親権者は,被控訴人と定めるのが相当である。

4 養育費について
 控訴人と被控訴人の収入,子らの年齢・生活状況,婚姻費用の分担額が審判により月額12万6000円と定められていること,控訴人が1人当たり月額5万円の養育費の支払の申出をしていること,そして,これとは別に二男の大学進学費用として150万円の養育費を毎月の養育費に加えて控訴人が被控訴人に対して支払う旨の債務名義が成立していることなどの事実を考慮すれば,控訴人が被控訴人に対して支払う子らの月々の養育費は,本判決が確定した日から子らがそれぞれ満20歳に達する月まで,1人当たり月額5万円とするのが相当である。

5 結論
 以上によれば,現時点においては,控訴人の離婚請求は認容すべきものである。
 よって,本件控訴は理由があるから,控訴人の離婚請求を棄却した原判決を取り消してこれを認容し,子らの親権者を被控訴人と定め,控訴人に対し上記養育費の支払を命ずることとし,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 小田耕治 裁判官 富川照雄 裁判官 小林久起) 

以上:3,071文字

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