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合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度3

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平成23年 6月28日:初稿
○「合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度3」を続けます。
B男は、結婚相談所で知り合ったA女と1ヶ月少々の交際期間中2回の性行為をして、交際終了2ヶ月半後になって妊娠が判明し、A女から相談されるも「どうしたらよいか分からない」と親身に相談に応じることなく、人工妊娠中絶同意書を作成し中絶費用30万円を渡しただけだったが、A女から905万円も支払を求める訴えを提起され、一審東京地裁から114万円の支払を命ぜられ、不服として東京高裁に控訴し、B女も附帯控訴をしていました。

○一審東京地裁の結論は、簡単に言えば、男女が共に性行為を楽しんだ以上、それによる妊娠・中絶との女のみが受ける肉体的・精神的苦痛について男は、最終的には金銭で分かち合うべきと言う当たり前と言えば当たり前のものですが、平成21年10月15日東京高裁は、以下のように大変難しい表現で、男の責任を認めました。
(妊娠中絶という)直接的に身体的及び精神的苦痛を受け、経済的負担を負う被控訴人としては、性行為という共同行為の結果として、母体外に排出させられる胎児の父親となった控訴人から、それらの不利益を軽減し、解消するための行為の提供を受け、あるいは、被控訴人と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的権利を有し、この利益は生殖の場において母性たる被控訴人の父性たる控訴人に対して有する法律上保護される利益といって妨げなく、控訴人は母性に対し上記の行為を行う父性としての義務を負うものというべきであり、それらの不利益を軽減し、解消するための行為をせず、あるいは、被控訴人と等しく不利益を分担することしないという行為は、上記法律上保護される利益を違法に害するものとして、被控訴人に対する不法行為としての評価を受けるものというべきであり、これによる損害賠償責任を免れないものと解するのが相当である。
○簡単なことを言うのに随分難しい表現をするものだとつくづく思いますが、損害賠償責任の法論理を明確にするためには仕方が無いのかなとも思います。この判決によれば、女を妊娠させた男は,中絶により肉体的・精神的苦痛を直接受ける女に対し、
その不利益を軽減し解消するための行為
等しく不利益を分担する行為
を提供する義務があるところ、この事例のB男は、A女からの今後の相談に対し、具体的な話し合いをせず、中絶するかどうかをA女の判断に任せるのみで、この義務を履行せず、A女の法的利益を侵害したと認定されました。

○では、女を妊娠させた結果的には中絶せざるを得ない状況となった場合、男が女の法的利益を侵害したと評価されず、金銭賠償責任を負わないようにするためには、具体的にはどうすればよいでしょうか。
先ず「等しく不利益を分担する行為」は、妊娠・中絶による肉体的・精神的苦痛を分担することとすれば、男には,到底、出来るはずがありません。経済的不利益であれば金銭で償うことは可能ですが、肉体的・精神的苦痛については、これを慰謝するための慰謝料支払しか方法はなく,結局はいずれにしても、金銭賠償しかありません。

○次に「その不利益を軽減し解消するための行為」ですが、A女の相談、話し合い要請に対し、「どうしたらよいか分からない」などと言って突き放すことはせず、真摯に応じて、自分の中途半端で安易な避妊方法で妊娠の結果が生じたことを,こころから詫び、中絶費用だけでなく、中絶手術による休業での収入減少にたいする償い等について誠意を感じさせる提案をすることでしょう。女は妊娠中絶という直接的不利益について、なんで自分だけ負わなければならないのかと、その原因を作った男に怒りの感情を持つはずで、その怒りを和らげる方策を取るべきでしょうが、別れた男女間ではなかなか難しいことです。

○世の中にはこのような事例は山のようにあるはずですが、裁判になって高裁まで争われた事例は,少ないと思われます。A女がB男を提訴するまで相当の期間があり、この間、A女は中絶した子の納骨まで行い、度々B男にメールを送るなどして誠意を見せるよう要請したはずで、これをB男が無視することが多く、この態度に切れたA女の提訴になったものと思われます。905万円もの請求ですから、B男の一審・二審の弁護士費用も嵩んだはずで,且つ、何より裁判対策の労力も大変だったはずです。かような事態に陥ったら、女を怒らせたら怖いということを肝に銘じて誠意を持って対処すべきでしょう。
以上:1,827文字

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