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離婚時年金分割制度と民法の財産分与制度とは別物

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平成23年 1月 5日:初稿
○平成16年6月、「国民年金法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、「離婚時年金分割制度」が導入され、分割割合の合意が出来ないときは、家裁で定めることとされ、その事件手続については、平成18年に「特別家事審判規則及び人事訴訟規則の一部を改正する規則」が公布されて、平成19年4月1日から「離婚時年金分割制度」がスタートしています。

○この「離婚時年金分割制度」は、厚生年金保険等の被用者年金に係る報酬比例部分の年金額の算定基礎となる標準報酬等につき、夫婦であった者の合意または裁判により分割割合を定め、その定めに基づいて、夫婦であった者の一方の請求により、社会保険庁長官等が、標準報酬等の改定または決定を行うというものです。

○この「離婚時年金分割制度」により老後、離婚した妻は夫が貰える年金の半分を貰えるとの大いなる期待が持たれましたが、実際は、いわゆる2階建て部分の最大半分だけしか貰えず、その金額は大したことがないと判り、失望されました。その具体的金額のサンプルは、「離婚時の厚生年金分割制度研修会3-分割例紹介1」、「同2」記載の通りです。

○ところで、この「離婚時年金分割制度」と従来からあった民法上の「財産分与制度」との関係ですが、一般的には、「厚生年金や共済年金も、婚姻期間中に形成された財産ですから、年金分割は、財産分与手続きの一部分となる」と解説されている例もありますが、この説明は必ずしも正確とは言えません。
この年金分割には、
①合意分割;当事者の合意または合意に代わる家庭裁判所の決定を受け,それに基づき標準報酬改定請求をするもの、
②当然(3号)分割;夫婦の一方が被扶養配偶者(専業主婦等)である期間(平成20年4月以降に限る)について当然に2分の1に分割されるもの
の2種があります。

○上記①合意分割は、「対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情」を考慮して割合を定めるとされていますが、現行老齢厚生(共済)年金は、基本的に夫婦双方の老後等のための社会保障的意義を有し、離婚時年金分割制度との関係においては、婚姻中の保険料納付は、互いの協力により、それぞれの老後のため所得保障を同等に形成していく意味合いを有しており、基本的には②当然(3号)分割と同趣旨で、合意分割でも、対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与の程度は、特別事情がない限り、お互いに同等とみるべきとされています。

○また財産分与との関係ですが、家裁実務では年金分割は財産分与とは異なる制度であり、財産分与よりも2分の1の原則性が強いと考えられているようです。例えば財産分与においては、夫婦が共同で形成した財産を清算するとの趣旨から、別居開始時に存在した財産を分与対象財産とする取扱例が多いが、年金分割は夫婦が共同して形成した財産の清算と言うことではなく、夫婦で支払った保険料は夫婦双方の老後等のための所得保障としての意義を有しているとの基本認識です。

○従って合意分割においても、同居・別居の区別なく当然に2分の1とされる当然(3号)分割と同様に原則2分の1として、別居期間が長期間に及んでいることやその原因等については、例外的な取扱いに関する考慮事情とするにとどめるのが相当とされています(日本加除出版発行改訂人事訴訟法概説494頁参照)。

以下、厚生年金法第78条の2全文を掲載しますが、この年金分割請求権は、民法第768条で認められた財産分与の趣旨を徹底するため、厚生年金法によって新たに認められた権利で、民法上の財産分与請求権とは別個のものと考えた方がよいでしょう。ですから離婚協議の際、財産分与について定めても、年金分割について定めていなければ、離婚後2年間は年金分割請求が可能になります。

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厚生年金法第78条の2(離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例)
 第1号改定者(被保険者又は被保険者であつた者であつて、第78条の6第1項第1号及び第2項第1号の規定により標準報酬が改定されるものをいう。以下同じ。)又は第2号改定者(第1号改定者の配偶者であつた者であつて、同条第1項第2号及び第2項第2号の規定により標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。以下同じ。)は、離婚等(離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者について、当該事情が解消した場合を除く。)、婚姻の取消しその他厚生労働省令で定める事由をいう。以下この章において同じ。)をした場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣に対し、当該離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間をいう。以下同じ。)に係る被保険者期間の標準報酬(第1号改定者及び第2号改定者(以下これらの者を「当事者」という。)の標準報酬をいう。以下この章において同じ。)の改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。

1.当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の次条第1項に規定する対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。以下同じ。)について合意しているとき。

2.次項の規定により家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき。

2 前項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求(以下「標準報酬改定請求」という。)について、同項第1号の当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

3 前項の規定による請求すべき按分割合に関する処分(以下「標準報酬の按分割合に関する処分」という。)は、家事審判法(昭和22年法律第152号)の適用に関しては、同法第9条第1項乙類に掲げる事項とみなす。

4 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。

以上:2,639文字

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