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有責配偶者の離婚認容要件-裁判例概観

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平成20年10月 4日(土):初稿 平成21年 2月19日(木):更新
○離婚請求者が有責である場合、自己の作り出した破綻を理由に離婚請求することは許されないとする考え方-消極的破綻主義-が大原則で、不貞行為者の離婚請求は認められない時代が長く続いていましたが,有名な昭和62年9月2日大法廷判決により一定の要件-①長期の別居期間、②未成熟子の不存在、③苛酷状況の不存在-の元で有責配偶者からの離婚請求が認められるようになりました。

○この大法廷判決の事案では①別居期間は36年もの長期でした。別居期間要件は徐々に緩和され、後に最高裁で覆されますが平成15年11月12日広島高裁判決では①別居期間が僅か2年4ヶ月で離婚が認められており、別居期間要件は緩和されつつはあります。但し、判例をよく見ると別居期間だけでなくその他の要件も重要です。

○そこで有責配偶者からの離婚請求についての裁判例を別居期間を中心に備忘録として概観します。
<有責配偶者請求認容例>
・平成元年9月7日最高裁判決(裁判集民157号457頁)
別居期間15年半で離婚請求認める。
有責配偶者に有利な事情として①妻は夫所有マンション居住別居後も生活費送金継続、②夫婦間の子を夫と同棲相手が養育、③離婚後妻が被る経済的・精神的不利益は著しいとは言えない

・平成2年11月8日最高裁判決(判時1370号55頁)
別居期間8年で離婚請求認める。
有責配偶者に有利な事情として①別居後も生活費送金継続、②不貞相手との関係解消、②財産分与について誠意ある提案等

・平成3年7月16日東京高裁判決(判時1399号43頁)
別居期間9年8ヶ月で離婚請求認める。
有責配偶者が妻の珍しい事案。有責配偶者であつても清算的財産分与を請求し得るとされたことが注目。

・平成5年11月2日最高裁判決(家月46巻9号40頁)
上記平成3年7月16日東京高裁判決の上告審で、高裁判決を追認して別居期間9年8ヶ月で離婚請求認める。

・平成6年2月8日最高裁判決(家月46巻9号59頁)
別居期間14年で離婚請求認める。
有責配偶者に有利な事情として①別居後の昭和63年9月以降毎月15万円生活費送金継続、②妻の不貞相手及びその両親前夫までの嫌がらせ継続、不利な事情としては、高校2年生の未成熟子

・平成14年6月26日東京高裁判決(家月55巻5号150頁)
別居期間6年で離婚請求認める。
有責配偶者に有利な事情として①夫婦不仲の原因に妻の不倫疑惑、②未成熟子なし、③妻に相当の収入あり、④相当の財産分与提案


<有責配偶者請求棄却例>
・平成元年3月28日最高裁判決(家月41巻7号67頁)
別居期間8年余で離婚請求棄却
有責配偶者に不利な事情として①同居期間22年に対し別居期間8年余と別居期間割合が少ない、②妻は夫からの婚姻費用でようやく生活維持、

・平成9年11月19日東京高裁判決(判タ999号280頁)
別居期間13年で離婚請求棄却。
有責配偶者に不利な事情として未成熟子2人(現在高校三年生と中学二年生)

・平成16年8月26日福岡高裁(家月58巻1号91頁)
別居期間9年で離婚請求棄却
有責配偶者に不利な事情として①同居期間21年に対し別居期間9年余と別居期間割合が少ない、②妻は夫からの婚姻費用でようやく生活維持、

・平成19年2月27日東京高裁判決(判タ1253号235頁)
別居期間9年で離婚請求棄却。
有責配偶者に不利な事情として長男が四肢麻痺の重い障害で日常生活全般にわたり介護を必要なため成人に達していても未成熟子同様
以上:1,421文字

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